第9章 きもちわるい
「あらちゃん」
「こ、こんばんは!」
「ミルクティーだ!いいなぁ!」
「予備あるのでどうぞ」
ぞろぞろと他の女の子が集まってきた。
各々ソファーに座ると、カップがすぐに出て、そこにお湯が注がれていく。
(皆、やっぱりすごいなぁ…)
かなりハードな科だと聞いた。
それをこなしながら座学もばっちり。
一方の私は出遅れた、完全に落ちこぼれだ。
「ちゃんいつも頑張ってるよね!」
「色々な事情で急な編入なんですって?」
「ここの勉強にいきなりついていこうってしてんのが偉いよー!」
皆は励ます、でもなく、慰める、でもなく、自然と私に感心してくれているようだった。
それが、なんと表現したらいいかわからない嬉しさで、ちょっと涙ぐんでしまう。
「ううっ、あ、ありがとう…!」
「ど、どうしたの!?」
「…なんか、色々、あってね…っ」
そのうちの話はほとんど出来ないし、私も覚えていることなんてほとんどない。
ただ、こういう普通の会話をしたのが、幾千年ぶりなのではないか、とすら思えるくらい久し振りで嬉しかった。
「いつでも助けになるよ!」
「そうですわ!お勉強も一緒にやりましょう!」
テスト前にまた皆で対策しよう、とその場で盛り上がって、気が滅入る雨のなか、少し晴れた気持ちになった。