第43章 【番外編】スターダスト
先生は1日、子供のようにはしゃぐ私に最後までしっかり付き合ってくれた。
乗り物も、ショーも、人形との写真の列も、イルミネーションの通りも、ずっと隣にいてくれた。
学校と違って気が張ってなくて、少しくだけ違う雰囲気だった。
ショーの場所を取ってもらうと、時間が余っていたので温かい飲み物を買いに走った。
戻ると、ベンチに凭れて先生が寝ていた。
そういう気が緩んだところも見れるのが自分だけだと思うと、急に嬉しくなった。
隣に腰かけて、起こさないように肩を貸す。
体重がかかると、ますます嬉しくなる。
「消太さん、冷めちゃいますよ…」
聞こえてないと思って、ひそひそと名前で呼んでコーヒーを掌に包んだ。
指先まで冷えていて、飲み物の温かさがじんじんと沁みる。
「やっと呼んだな」
「きゃうっ!!!」
びっくりして思わずカップを落としそうになったが、無事にそれは先生の手に渡った。
「起きてたんですか!?」
「いや、呼ばれて…」
「……寒かったですか?顔、赤い…」
「………少しな」
先生は髪を整えてからマフラーの位置を少し変えた。
風がさっきより冷たいかもしれない。
持ってきた手袋をはめ、私もココアを少し飲んだ。
急にさっきのが恥ずかしくなってきて、顔がひきつる。
隣が気になって、折角のショーはほとんど頭に残らなかった。