第34章 【番外編】恋人ごっこ2
「…せんせぃ、あっつい…」
何時間そうしていただろう。
先生の体重が優しく私に下りたまま、丁寧に手が這わされる。
ひんやりとした掌が、もう触っていないところがないんじゃないかというくらいに蹂躙し、体温を上げていく。
緊張して息も止めてしまうせいか、余計に息苦しく、酸素を求めて口も開いてしまう。
それがうっかり塞がられ、ブラックコーヒーの苦味のある香りが私に染み込んでいく。
「っ、ん…!」
顔を反らそうにも、全体にかけられた柔らかな圧からは解放されない。
腰に、じわりと、疼きが深まる。
漸く解放されると、結ばれていた銀糸がほろりと途切れ、目の前の人物は普段見せないようなニヤリとした笑みを浮かべる。
相変わらずくすぐったい髭が、私の肌に触れる。
どうしたらいいかわからなくて、行き場に困った手が宙を掻く。
身体の真ん中に優しく指を這わされ、つぷりとナカに入ってくる。
「あぅ……」
いやというほど触れられているせいで、とろとろと蜜が溢れて、恥ずかしい。
それなのに、先生は私の手を先生のソレに無理やり持っていく。
「…っ!!」
恥ずかしくて死にそうなのに、手で包むように促され、震えるのを抑えながら従った。
「あっ、ん…!」
奥をコツコツと指で刺激され、それと共に手を動かすように指示される。
「せ、んせ、恥ずかしいです……っ」
「今は、先生じゃないんだろう?」
「……っ」
おずおずと、その脈打つものに手を這わし、言われた通りに動かす。
まだ外が明るいせいで、目を瞑ってても動く影がわかるし、耳にたまに微かに聞こえる先生の詰まる息が、段々と私も呑まれそうになる。