第33章 【番外編】恋人ごっこ
連休明けてすぐ、すっかり先生がいるのが日常になってしまった私の部屋。
お互いに自分のことをして、私は机に。
先生はベッドでノートパソコンでお仕事しているようだった。
「先生…」
「なんだ」
聞いていいかわからず、やっぱりいい、と思って黙ってしまった。
勘のいい先生はすぐに顔を上げて、なんだ、とまた聞き返した。
「……もう終わりますか?」
結局聞きたいことを誤魔化しに誤魔化して、そう聞く。
「もうちょい」
宿題が漸く終わった私は、机の横で伸びをする。
近くにいるのも迷惑かも、と机わきにいたら、ポンポンとベッドを叩かれて、隣にいてもいいという許可を貰った。
嬉しくて、ついその膝の上に頭を乗せる形で、同じ画面を見る。
フィルターをつけていて、私の角度からは何も見えない。
先生は、ポケットから目薬を取り出し、水滴を水分補給のように取り入れ、柔らかく私の髪を触る。
それだけで、少し気持ちが紛れる。
「なんだ」
さっきの話のつづきを促した。
私が濁したことに気付いていたみたいだ。
「えっと……」
どう言ったらいいかわからない。
他の女の子みたいに一緒に出掛けたい。
けれどそれが出来ないのもわかってるし、迷惑なのもわかってるし、そして何より、現状に満足している。
どう言っても気を遣わせてしまうだろう。
というより、迷惑だろう。
どう言えばいいかな、とまた画面を見ながら考える。