第32章 【番外編】聖域の証明2
先生に、一度大きな病院で診てもらおうと誘われた。
確かに私の貧血や、栄養分の摂取の仕方は少し面倒で、蘇生してくれた人も今は会えないからそうする他はないようだ。
支度を終えて校門で待っていると、タクシーでお迎えに来てくれた。
髪を結んで髭も剃った先生は、いつもより更にカッコよくて見惚れてしまう。
「勉強は大丈夫そうか?」
「は、はい…。
1年の時と違って、スタートラインが一緒だから少しやりやすくなりました」
「話せる奴は出来たか?」
「相変わらず、寮の子たちとばっかりで…」
やたら無難な会話ばかりする先生を不思議に思っていたら、前の席に校長先生が静かに座っていた。
緊張して途中から私は無口になってしまった、と思う。
それに気付いたのか、先生は見えないようにそっと手を重ねてくれる。
どきどきしてしまって、顔が見えないように窓に向けた。
(顔、あっつい…)