第31章 【轟編】聖域の証明
学校行事の合間に母の見舞いに行くのはすっかり定期的な行事に変わってしまった。
病室を出ると、そこには会っていいものかわからない二人の姿があった。
「…あ、轟くん」
一応挨拶はするかと近付くと、向こうが先に気付いた。
サラサラとした耳心地のいい声が聞こえる。
「来てたのか」
事情を知っている先生は、さらりと流す。
「何してんの?」
さして興味もないふりをしながら、が気になり、尋ねてみてしまった。
後から悔いたのは言うまでもない。
「私の身体、普通の人と違うからね、ちょっと検査してみたら?って」
「ああ…」
リカバリーガールが似たようなことを言っていたのをふと思い出した。
それにしても嬉しそうだと思った。
横にいるソイツを一人占め出来るのを堪能しているかのような。
担任は嫌そうにしているのをなんとなく察した。
気まずそうにたまに視線を泳がせているのがバレバレである。
「呼ばれたぞ」
アナウンスに流れて名前を呼ばれ、二人は立ち上がった。
「またね、轟くん」
可愛く手をふり、まさしくそれは、場所にしてはふさわしくないが、デートと言われるもので間違いない。