第29章 【番外編】葛藤
先日はとうとう、抑えきれなかったことを全て言語にしてしまった。
その後の罪悪感は、酷かった。
贔屓などではなく、この、たった一人の愛しい存在を、あと二年近くも見てみぬふりをしなくてはならない。
繋がりはあっても、それはあまりに彼女に対して残酷なのではないかと。
「あ…っ、はぁ、んぅ…っ」
何度めかの果てを迎え、息苦しそうに肩口で吐息が聞こえる。
「せん、せ、せんせいも、さいごまで……」
そうしたい気持ちはあるが、まだ些か抵抗がある。
年の離れすぎた生徒に、その終わりを見せてしまうことが。
それとも、自分の中で作り上げてしまった教職というのは、そこまで綺麗なものなのか。
今ここでは、ただの人間でいいのではないか。
ぐらりと炎が揺れて灯る。
「そうだな」
長いこと考えていたことに、やっと決着が出来た。
「はっ、せん、…いっ、あっ…!!いぁああああ!!!」
それならそうと、楽にしてやるまで。
激しく楔を打ち、弱点を攻め、自身もまた、その甘美な誘惑にゆっくりと浸る。
しっかりと装着はしているが、まだ、罪悪感が勝つ。
ドクドクと溜まったモノが、脈打ちながら解放され、そして抱いた相手はぐったりといつものように気を失っていた。