第28章 【轟編】秘密
その女の秘密を、俺は握っている。
それは緩やかな乙女心と、禁断の狭間に揺れる、大きな秘密だった。
公には一瞬なったが、すぐに鎮火されたようで、他人事ながらにほっとする他はない。
さすがに情のある人間なら、誰もがそう思うだろう。
そして、その女は、あまりに身体が弱かった。
「おい、大丈夫か?」
「……」
話すことすら出来ず、ソイツはゆっくりと膝から崩れ落ちた。
やれやれと、またしても保健室に運ぶことになってしまった自分が憎い。
兎に角、コイツの涙はヤバいと、本能が危険信号を出しまくっている。
近くにはなるたけいないように気をつけていたが、それでも秘密を知ってしまっている以上はどうしても他の連中よりは関係が濃くなってしまっている。
「どう悪いのか教えてくれないか?」
もし頭にダメージがあるなら、動かさない方がいいこともあるだろう。
念のため、意識があるうちに聞いておいたが、返事はない。