第25章 かさかさ
「無駄だ」
「なに、もうわかっちゃったの、此処」
「ソイツのそれは、何をやってもなくならない」
「……そんなわけ……」
「その首の継ぎ目が証拠だ。
あの変態科学者が言っている。」
『個性を抜く?
無理だよ、彼女の首の継ぎ目、見たでしょ?
涙腺を変えても、脊髄を弄っても、全然ダメ。
彼女自身が作り出してるんだよ。特殊すぎる。
残念だけど、呪われた身体なのさ』
「なにそれ…」
「無駄な足掻きは止めろ」
「むかつく…!」
意識が遠退くなかで、私のいた場所が壊れていくのを感じた。
ドロリと液体のように、粉々になっていく石の塊。
その人は、前みたいに私を助けてくれた。
可哀想に、と言ってた。
優しくて、大好きな人。
大切に抱き抱えられてるのが嬉しかったけど、ちょっと心配だ。
「せんせ、ここ、皆に見える……」
高いビルから飛び降りるところ。
きっと、沢山の人に見られてしまった。
先生は、先生を辞めないといけないかもしれない。
そんなことを、一瞬だけ、考えてしまった。
でも、こうしてくれるのが、ちょっと嬉しかった。