第25章 かさかさ
優しく手首に手を掛けられる。
かさかさとした手のひらは、冷たい。
普通の人間の、しっとりとしたものとはまるで違って、固くて、まるで物みたいだ。
薄暗い部屋で機械に繋がれながら、私はその人に触られていた。
もう抵抗する気力もない。
さっきから、走馬灯のように、私の寂しくて短い人生が頭を駆け巡る。
担架で運ばれる男の子。
顔すら見えない冷たい視線の両親。
誰も口を聞いてくれない。
目を合わせてくれない。
危険だからと施設に入れられ、毎日よくわからない実験をされた。
変な薬を飲まされ、白衣のおじさんたちに触られて。
いつだったか実験で大きな傷を作った。
凄く痛かったのに、誰も心配してくれなくて、そのままバケツの水を被された。
その傷をいじられながら、あまりの痛さに意識が朦朧としそうな中、身体に楔が侵入してくる。
太腿にぽたぽたと、血液が伝う。