第24章 秤にかけられない
彼が担架で運ばれるのを見ながらやっと、我に帰る。
私は自分が怖くなった。
親も友達も、クラスの人も、先生も、私とは目すら合わせない。
「そして、君は命をたった」
「………」
「遺言書もある」
「私、個性残ってるなら……もう、いりません……。
お願い、も、死なせて……」
「隠せ」
「はっ」
ぐすぐすと泣いているところで、目隠しの上から更に大きなマスクを被せられる。
もう、自分の生きている意味なんてわからない。
人を知らない間に洗脳して言うこと聞かせて苦しめて…。
そんなことがしたいわけじゃない。
私はいつだって、皆の本心が聞きたい。