第3章 ここにいろ
カーテンから僅かに差し込む月明かりに照らされる涙に何故か動揺する。
それでも、彼女をどう救ってやるのが正解か、全くわからない。
何年この仕事をしているのか、疑問にすら思う。
完全にいわば、衝動買いをしてしまったわけだ。
それも、生き物を、人を。
それが世間に広まりでもすれば、普通に生活することはもう出来ないだろう。
「、お前は、どうしたい?」
敢えて問うてみるが、返事はない。
ふう、といつものように重たい溜息がこぼれてしまった。
それすらも、今の彼女は傷つくのではないだろうか。
「…ここに、いたいです…」
かすかな、か細い声で、彼女はそう呟いた。
それはどういう意味で言っているのか、わかっているのかどうか。
こちらが聞きたいことはいつも山ほどある。
「迷惑、ですよね…わかってます…」
「……」
それは…間違いなくそうだ。
バレればクビの不祥事。
今後バレずにどうやって過ごすか。
生活においての準備は。
戸籍とか、そういう御役所関係は…。
考えれば、ことが尽きない。