第19章 動揺
(ヤバい…)
それがどういうものか、全く説明は出来ないが、彼女の涙をこれ以上見るのはおかしくなると思った。
その日は1日それしか考えられなくなる。
何日かして、やっと思い出さなくなった頃、クラスの女子が小さな箱を渡してきた。
「なんだ?」
「これ、ちゃんから」
「あの時お世話になりましたって」
「そういえば保健室まで運んだって?」
「……ああ」
箱を開けると、この前渡した物とよく似たハンカチが入っていた。
「……気にしなくていいのにな」
そういえば、先生に何も話していない。
何も言う必要もないか。
寂しがってたことだけは伝えるべきか。
どれも支障が出る気がして考えるのを止めた。
彼女は、先生のなんなんだろう。