第1章 はじまり
チュンチュン……
『……(ん、私…あれ?)』
目を覚ますと隣には美しいお顔ですやすやと
お眠りになるテヒョン様がいました。
長い睫毛に凛々しい眉毛、高く筋の通った鼻
肌は白磁のように滑らかでツヤツヤしている
まるで異国のお人形さんのよう…
あ、鼻の先に黒子を一つ見つけた。フフッ
テヒョン「…そんなに面白い?…俺の寝顔」
『!(お…起きてたんですかっ!?)』
テヒョン「なぁに?俺の顔見てニヤニヤしてさ」
するとテヒョン様が私を引き寄せた
お互いの吐息が混じり合いそうなくらいに近い
心臓の音を確かめさせるように抱き締めながら
耳元に顔を近付けて、低く掠れた声で囁かれた
テヒョン「もしかして、見惚れてたの?」
『!?(…わ、恥ずかしい!)』
テヒョン「真っ赤になって。可愛いね…フフッ
腰は大丈夫?……痛くない?」
は頷くとテヒョンの頬を片手で撫でながら
柔らかく微笑んだ。
テヒョンは頬を撫でる手の上から自分の手を重ねた。
小さな手の温もりを感じるように…そっと
テヒョン「朝食の時間まで、こうさせてね」
ぎゅっと私を抱き締め直すと、また眠りの世界の扉を開け入っていった
腰が痛くないって言ってしまったけれど
本当は痛くて、下半身に力が入らない。
きっと朝食の場所まで歩く時にはバレてしまう
…迷惑は、かけたくないな。
だから今、出て行くしかない。
一生懸命にガクガクする下半身に力を入れて
テヒョン様が起きないようにベッドから降りた
人間は下着を付けるんでしたっけ?
無くても大丈夫でしょうか……。
取り敢えず、裸なので服はこの軽そうな物を…
忍び足でササッと部屋から出て来た。
大きく広い赤い絨毯が続く廊下を歩いていると
チラリと人影が見えた。
隠れなきゃ!そう思いは
咄嗟に深緑色の大きなカーテンに身を隠して待つ
?「……誰かいるのか…?」
心臓の音が大きくなり周りに聞こえそうなくらい
ドキドキしている。胸に手をあてながら
ぎゅっと目を瞑った。
声の主が此方に近付いてくる足音がする
怖い…誰か……!
シャッ…
深緑色のカーテンが開けられると共に
思わずも目を開けたのだった
?「何だ、隠れんぼでもしてるのか?」