第1章 はじまり
染香が地元の友達数人と夏祭りに行くと聞いて
嫉妬したのを覚えてる。
夏祭り本番まで電話を繋いでくれてたけど
楽しそうな笑い声が聞こえるたび
羨ましく思った。
辛いときは感情を押し殺した。
何ヵ月おきに数日会えるのを
あの頃の私は生きる糧にしてた。
初めて私の家でお泊まりしたとき
抱き枕を持ってきていて笑ったのを覚えてるよ。
可愛いな、なんて思って
染香を想う気持ちがまた膨れた。
突然歌い出した歌がかぶったりしたね。
あのときは本当にびっくりした。
すごいタイミングだったよね。
好きなアーティストの歌い方を真似したり
サビの出だしを何度もリピートして遊んだり
ライブのDVDを見たり
カラオケではしゃいだり
友達のようなカップルだったね。