第11章 HERO!!!!
「…。」
何度もポケット辺りに
手を添える素振りをみせるユキ
心做しか 少し焦っているような表情
「私ちょっと…お手洗いに行ってきますね」
相澤の返答も聞かずにそれだけ言うと
体育館・γから出ていった。
相澤「……」
鋭い表情の相澤は
ユキが出ていった方を見つめていた
体育館・γから出たユキは
その場からできる限り離れるため走った
充分な距離を取り 周りに人がいないか
確認し かつ監視カメラの死角へ
「……!……思ったより速い…。」
スマホを上鳴から受け取った時は
正直ヒヤヒヤした
上鳴『先生これ、預かったままでさ…』
『あー!そうだったね ありがとう…!』
もしこのメールが私じゃない
誰かに見られてでもしたら…
Pppppppppppp♪
「!」
「私よ」
「 接触が確認された」
プツン……ツー…ツー…ツー
会話とは言えない
要件だけを伝えられすぐに切られた電話
その電話の相手から伝えられた言葉に
ユキの目はヒーローと呼ぶには
物騒な目付きをしていた。
~3分前~
ユキが出ていった方を見つめる相澤に
轟が不思議に思い尋ねた
轟「…先生…?」
相澤「なんだ轟」
轟「ずっと扉を」
相澤「なんでもないさ。きっとな…」
ボソッと言った言葉は轟には聞き取れず
聞き返したが 軽くあしらわれた
ユキが出ていって5分後
体育館・γの扉から手をハンカチで
拭きながら歩いてくるユキ
「仕事中にすいません…」
アハハハハハハ
乾いた笑い声で申し訳なさそうに
頭を下げてくる
相澤「あぁ。不可抗力だからな」
「アハハハハハ…」
なんだろうこの…重い感じ…!
この感じどっかで 感じた。
昔?いや、最近……この感じ…
まさか…相澤先生……いや。
まさか…ね。
校長室から学校を眺める校長先生。
コーヒーを片手に持ち一口飲みこむ
根津「…動き出したようだね
上手くやってくれたまえユキくん」