第9章 HERO!!
「……!」
気がつくと椅子に手脚を縛られていて
口にはテープがはられていた
状況は理解出来なかったが
自分が今危険な状態にある事はわかった。
"個性"なんて使えるはずもなく
ただただ涙が止まらなかった。
ボロボロなくユキに
運転手のお兄さんが部屋に入ってきて
そっと涙を拭ってくれた
ごめんな…と辛そうな声で
言うと縄に切れ目を入れて
いつかチャンスがくる。
その時に隙をみて逃げるんだとそう言った。
お兄さんが出て行ってから
しばらくして 怖いお兄さん達が入ってくる
コイツ連れて逃げるか揉めてるみたいだった
地面が揺れる程の大きな揺れ
遠くの方で警察官の声がする
横からドォーンと音がして
壁にヒビが入り壊れた。
オールマイトが壁を壊して入ってきた
オールマイト「私が来た!」
3人は拳銃を取り出し
オールマイトに向かって発砲。
そのうちの1人がユキを抱えた
あまりに暴れるもんだから
その男に肩を切りつけられてしまった
その痛みと恐怖にユキは暴れるのを止めた
ダラダラと流れる血が洋服を伝い地面に落ちる
血が地面に落ちるたび
意識が遠のいていく気がした
イレイザーヘッド「…!お前…!」
男が抱えた少女は 肩から血を流し
ぐったりしていた。
ボーとするユキの視界
フワッと体が浮いた感覚がした
誰かの腕に…抱きしめられた気がした
目をそっと開けると 血走った目を見開いた
男がユキの視界に映り込む
「……ヒッ!」
イレイザーヘッドの顔をみたユキは
その剣幕に恐怖で失神した。
イレイザーヘッド
「…なんで俺の顔をみて気絶するんだよ…!」
オールマイト「笑顔だよ!イレイザー!」
イレイザーは 後ろから現れたオールマイトに
舌打ちをしてこのガキ後は任せたぞ…
とオールマイトに受け渡した。
オールマイトに抱えられ
無事に生還したユキ
お爺は泣いて喜んだ
柳義成「オールマイトお前には
返しきれねえ借りができた。
本当に…ありがとうな」
オールマイト「礼なら私ではなくイレイザー…」
柳義成「ユキ!本当に良かった…って!
血が出てるじゃないか!」
オールマイトの話を聞かずにお爺は
肩から血を出したユキを抱え
オールマイトに後で礼をさせてくれと叫んで
その場を後にした。