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ゆるやかな速度で

第9章 7.合宿01


「えっと…?」
「いや…別にええわ。あと2時間したら小春とここで手伝うわ」

私の質問には特に答えてくれる気はなさそうだったので私も先程の事は気付かないふりをすることにした。
私とユウジくんの会話を聞き終えてから『いけない!』という仕草をして小春くんがここに来てくれた目的を話してくれる。

「あかん、忘れとった。【名前】ちゃん呼びに来たんやった。コートとか施設内軽くみんなで散策してから練習行こう思ってな」
「呼びに来てくれたの?」
「当たり前やない。蔵りん達も待っとると思うから行くで!」

私がそう質問すると花が咲くように微笑んでから私を引っ張る様に小春くんが連れ出してくれる。
小春くんが私の腕を持つので、それを見たユウジくんが『小春!浮気か!』と私の目の前で小春くんに食いかかるので私は別の意味でドキドキしてしまう。
そんな私に気付いたのか小春くんが『仕方ないんやから』と苦笑してから私の腕を離して『ちゃんとアタシらについてきてな?』と私へ告げる。
私は小春くんの言葉に頷いて、前を歩く小春くんとユウジくんの後を追ったのだった――。

2人の後を追って皆の所に合流してから私は簡単に施設内を見て回った。
宿舎となる建物は、3棟あり一般のお客さんもいるみたいだった。
一般のお客さんが主に宿泊している2棟からは少し離れた位置にある私達の泊まる部屋がある建物は山側の方に近くなっており、更には併設されたコートも近くにある。
コートも何面か存在していたので、皆は『練習しやすそうやな』と楽しそうに会話をしているのを見て私も嬉しくなり自然と頬が緩むのを感じていた。

施設内を見てからは、小春くんたちと3人でお昼ご飯の受け取りをして食堂に受け取ったお弁当を配膳して回った。
今回のお昼は彼らが手伝ってくれたが今度からは当番制で手伝ってくれるという話になり、今後の当番については後ほど教えてもらえるとの事だったので私は申し訳なさを感じながらもお願いした。
でも小春くんはそんな事はお見通しな様で『別に全部が全部マネージャーがやるべき事でも無いんやで?』と苦笑されてしまう。
きっと彼は私の心のうちなんてお見通しなのだろう。
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