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ゆるやかな速度で

第9章 7.合宿01


「あ、あの。その、先生は別に励ましてくれてただけなので」
「そうなん?【名前】ちゃんがええんならアタシらはええんやけど」
「小春がええなら俺もええわ」
「お前らぶれへんな。まぁ、ええわ。今日から【名字】が食事の受け取り業者からするから誰か手伝ってやってな」

私の言葉に2人はようやく納得してくれたようで私は安堵する。
私達のやりとりを見終えてから渡邊先生は、先程の納品書の件を彼らに話していく。

「そういう事なら、任せといてな!」
「小春が手伝うなら俺もやるで!」

聞き終えてから小春くんがウィンク付きで『任せて!』と言ってくれるので私は嬉しくなった。

「2人ともありがとう」
「ええのよ。合宿行くって言うたらな、綾子めっちゃ心配しとったから。なんか困ったことあったら遠慮なくアタシらに言ってな?」
「小春くん…ありがとう」

綾子ちゃん……。
今回の合宿の話をした時に心配そうに私を見ていたのを…私は思い出した。
きっとたくさん私に言いたい事もあっただろうに、何の文句も言わずに、私を送り出してくれた。
何度も『ごめんね』と言う私に『【名前】が決めたことやろ?私は応援しとるから。何かあれば連絡してくれてええんよ?』と言ってくれたのを覚えている。
嬉しくて…でも、申し訳ない気持ちもあって私は綾子ちゃんの目をずっと見ている事が出来なかったのだ……。

「で、次の時間いつなん?」
「あ、えっと……あと2時間後ぐらいです」
「おっしゃ。俺と小春の見事な連携プレーで手伝うたるわ!」

綾子ちゃんの事を思い出していると、ユウジくんに声をかけられて驚いてしまう。
私がビクッと肩を揺らして驚いたのを見て彼も一瞬だけ驚いていた。

「ユウジくんも手伝ってくれてありがとう」
「別に俺の場合は【名字】の為じゃあらへんで」
「それでも有り難いから」
「……ふーん」

私がお礼を述べると、ユウジくんがジロジロと私を見ているので不思議に思う。
何か失礼な事を言ってしまっただろうか?
不安になりながら彼に声をかける。
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