第9章 7.合宿01
「じゃあ私自身は朝来てくださる業者さんから受け取って数を数えるんですね」
「せや。流石に全員分やから大変やと思うし、必要に応じて誰か手伝いを頼んで……あぁ…【名字】、そういうの不得意そうやな」
「…えっと?」
渡邊先生は1人で何かを思いついた様に考える仕草をする。
先生の言葉から察するにきっと私1人では確認の事も考えると心もとないので誰かがいた方が良いということは私でもわかる。
それでもなるべくなら雑務の方で手を煩わせたくないなとも思ってしまう私もいたのであまり嬉しくない状況ではあった。
でも私1人でも問題なく素早く運びきれるかと言われてしまえば、そうではないので仕方ない。
「手伝いの件は俺が誰かに言っとくからとりあえず今日の昼分はこの時間に来るから宜しくな」
「はい」
私の思いとはよそに先生は誰かに依頼をしてしまう様なので、私も早く一人前にならなければ…と改めて思った。
その意気込みを胸に先生から渡された書類にきちんと目を通すと、そこは業者さんの名前、また朝昼晩の食事をいつ届けにくるか明確にされていた。
私はその時間はこの受取場にいる必要があるということになる。
忘れないようにしとかなければと思った。
そう思いながら書類を見ていると、ふと視線を感じて顔をあげれば渡邊先生が私の方をジッと見ていた。
普段の優しそうだったり、みんなを和ませようとしてくれているお茶目な一面とは違って真面目な表情で私を見ていたので私は一瞬ドキリとしてしまう。
何かやってしまっただろうか?と不安な気持ちのままに先生に声をかけた。
「…先生?」
「あ、すまんな。ジッと見たりして」
「いいえ。…その、私何かおかしいですか?」
先生にそう尋ねて回答を待つまでの間、私の胸はドキドキと緊張を表すかのように心臓が鳴っていく。
何かしてしまったのだろうかと緊張してしまう。
「いいや。おかしないで。ただ…まぁ、俺がこんな事言うのもよく無いのかもしれへんけど」
先生におかしくないと言われて、私はホッと安堵する。
けれども先生の話は何か続きがありそうで、私はまだ身構えたまま先生の言葉を待った。
「部活…大丈夫か?」
優しい声音で先生が私にそう尋ねる。
一瞬驚いてしまって私は言葉に詰まってしまう。