第8章 6.変化
そして改めて千歳くんへと視線を戻すと彼の大きさに圧倒されてしまう。
他のテニス部の人達も背が高い人が多いけれど千歳くんは更に大きく感じてしまう。
私が勝手に圧倒されていると彼は少しだけ困り顔で私に尋ねる。
「えっと…【名前】でよかね?」
その質問で私は彼に自己紹介をきちんとしていなかった事を思い出す。
戸惑わせてしまい申し訳ない事をしてしまったと私は反省した。
「【名字】【名前】と言います。まだ入部してから数日しか経ってないですが宜しくお願いします」
そう言って頭を下げれば千歳くんの戸惑いが増す雰囲気を感じて顔をあげると、さっきよりも困り顔で私を見ていた彼と目が合う。
何かおかしな事をしてしまっただろうかと段々と不安になっていると横から金太郎くんが助け舟を出してくれた。
「【名前】。千歳、別に怖くあらへんで?」
「わ、私そんな表情してた…?」
「んー、なんとなくそう思ってん。ワイ上手く言えへんけど千歳めっちゃええやつだと思うわ」
金太郎くんはそう言って私に笑顔を向けてくれる。
無意識に緊張していたのだとそれで気付いた。
きっと千歳くんも私が身構えながら畏まってしまったので困ってしまったのだろうと先程の彼の表情を見て察した。
「千歳!【名前】もめっちゃええやつやから、よろしゅう!」
「畏まられとって驚いただけやけん」
金太郎くんが千歳くんに私の事を太鼓判を押してくれる。
その事に私は金太郎くんへ感謝をした。
そして畏まってしまった理由の1つである事を私は千歳くんにおずおずと尋ねた。
「あの…千歳くんって転校生なんですか?」
「俺、九州から転校してきたばっかりやけん喋りは気にせんで」
「そうだったんですね」
私が質問をした事に対して彼は嫌な顔もせずに答えてくれる。
その様子で私の質問は、特に彼の気に障らなかった様だと分かり安堵した。
そして安堵している私に今度は彼が質問を投げる。