第2章 1.きっかけ
西村さんとおばあちゃんの話をしていると、賑やかな声がこの場に響く。
弟の遥斗の声だった。
畳んでいた洗濯物の手を止めて遥斗を見ると、元気いっぱいの表情でこちらを見ていた。
「遥斗、手は洗った?」
「当たり前や!それより聞いて欲しい事があるんやけど!」
「遥斗くん、先に洗濯物片付けてからでええか?」
「じゃあ手伝うわ!!」
西村さんが遥斗に提案すると元気いっぱいに私達の所へと駆け寄ってきて一緒に洗濯物を畳んでくれる。
私はそんな遥斗を見て、自然と笑みがこぼれる。
いつも元気いっぱいの遥斗にはこちらまで元気が貰える。
私はそんな元気な弟が大好きだった。
そんな事を考えながら隣で高速で洗濯物を畳んでいく弟がいた。
私もちゃんと洗濯物畳まないと思い、せっせと作業に引き続き取り組んだのだった。
***
「ごちそうさま!!」
元気いっぱいに食べ終わった食器を遥斗は片付けていく。
あれから西村さんはいくつかの家事をやってくれた後で帰宅した。
西村さんを見送った後は、遥斗と2人で西村さんが作ってくれたお惣菜やおかずを冷蔵庫から取り出して夕飯を食べる。
夕食を食べながら遥斗は今日も新しいクラスであった出来事をジェスチャー付きで色々と話してくれる。
その話はどれも面白くて、お行儀が悪いとは分かっていてもついつい遥斗の話に聞き入って笑いっぱなしになってしまった。
遥斗の話はいつも面白いなと感心してしまう。
それと私は今日の出来事をいつ言い出そうかとソワソワしてしまっていたが、いつまでもタイミングが掴めずにいた。
でも話すなら今ではないか?と思い、意を決して食器を片付けている遥斗に話しかける。