第2章 1.きっかけ
家についてからも何時も通りの日常でまるで昼休みの出来事の方が白昼夢だったかの様に思えた。
私は遥斗が学童から帰ってくるまでに、お手伝いで家に来てくれてる西村さんと一緒に私の出来る限りの家事をこなす。
それも何時も通りで慌ただしく時間が過ぎていく。
「ただいまー」
バタバタと家の中を駆けていると、玄関の方から元気いっぱいの声が聞こえてくる。
「遥斗くん、帰ってきたんやな。もうそないな時間か」
「そうですね。やっぱり家、広いから掃除も大変ですね。いつもありがとうございます」
「気にせんといて!むしろ私としては【名前】ちゃんにももう少し休んでて欲しいぐらいやわ」
そう言って西村さんは豪快に笑う。
西村さんは、随分昔からこの家に手伝いで来てくれている人で、私達が関東から関西に引っ越してくる前からの付き合いだと前におばあちゃんから聞いたことがある。
西村さんも先代…おじいちゃんとおばあちゃんにとてもお世話になったからと言って両親が多忙でこの家にほぼいないので色々な方面にお世話になっている。
私にとっては第2のお母さんみたいな人だ。
私のお母さんも割と男勝りな所があるが、西村さんもまた違った意味合いで豪快であっけらかんとしていて一緒にいてとても心地良かった。
「そう言えば、来週やったよね?先代が退院するの」
「そうですね」
「私も手伝いに行くから遠慮なく色々と言ってな」
そう言って西村さんは私に優しく声をかけてくれる。
来週…。そう、来週にはおばあちゃんが家に帰ってくる。
調子を崩して短期入院していたおばあちゃんが家に帰ってきてくれるという事実に私は嬉しくなって西村さんの言葉に嬉しく頷く。
そんな私を見て西村さんも嬉しそうに笑ってくれた。
「ここにいたんか!」