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ゆるやかな速度で

第8章 6.変化


そんな事を考えながら忍足くんと一緒に教室へと入るとSHRの時間が近付いているからかクラスメイトはほぼ揃っていた。
勿論まだ席についていない人達もいたけれども。
忍足くんが自身の席へ向かいながら周囲の人へと挨拶をしていく。
彼の挨拶をしている姿を見てから私も自分の席へと向かう。

近くにいた人達が気軽に『おはよう』と話しかけてくれるので私もそれに返事をしていく。
想定外の事には未だに驚いてしまっておかしな反応をしてしまうけれど、最近は朝の挨拶をクラスメイトとするだけなら男女どちらの人でもきちんと対応出来る様になってきていた。
こんな風に変われていけているのは彼のおかげだなと私は自分の席に座る前に、チラリと白石くんの席を見れば彼と偶然目が合う。
彼と目が合うとは思っていなくて、私の心臓がドキリと跳ねた。

顔をそらす事も出来なくて、彼をただ見ていると優しい彼の表情が更にほころんでいく。
その優しく甘い彼の表情に私の頬が熱くなっていくのが分かった。
驚いてしまって小さくお辞儀をしてから私はきちんと自分の席に着席し慌てて荷物を机の中へとしまっていく。

ドキドキと煩い心臓の音が隣の席の男の子に聞こえてしまうのでは無いかと不安になったけれど、誰にも何も指摘されないので多分私は普通に出来ていると思いたい。
先程の白石くんの優しい微笑みが頭の中から離れてくれなくて私は必死に熱くなってしまった頬が他の人にバレない様に祈ったのだった――。

***

「【名前】~!」

あれから授業中も白石の笑顔が離れなくて、たまに思い出してしまい熱くなる頬を必死に抑えようと奮闘している間にあっという間に放課後へとなっていた。
成端な顔立ちの人が微笑むと本当に心臓に悪いのだなと私は心の底から思った。
彼の優しい顔が頭から離れてくれなくて部活動で変な態度を取ってしまわないか心配しながら、着替えを終えてからテニスコートへとやって来ると元気よく金太郎くんが私に手を振りながら駆けてくるのが見えた。
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