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ゆるやかな速度で

第14章 12.羨望


その日の放課後の事だった。
部活動が始まり、今日は最初にボール出しをするためにボールを保管している用具入れに行こうとしたところで白石くんに呼び止められる。
それは私だけではなく、他のみんなもで渡邊先生か白石くんに呼び止められて集められていた。
皆がそれぞれどうしたのかと口々に言いながら集まると、白石くんの横に今日見かけた1年生の女の子が立っていた。

「下級生のマネージャーも来年以降の為に必要やから体験入部っちゅう形で暫くお試しでマネージャーやることになった野宮や」

先生が彼女を紹介すると、先生と白石くんの間にいた彼女がにっこりと微笑んでからお辞儀をして自己紹介をする。

「1年の野宮由衣香です。気軽に由衣香って呼んだってや」

そう言って微笑んだ彼女が凄く可愛くて、私は同性なのにドキッとさせられてしまう。
同性の私でもドキッとしたので、異性であるテニス部の人たちもその可愛い笑顔にやられたようで、みんな「なんでも聞いてや~」など色々と元気に声を返していた。

「【名前】、ちょっとええ?」

私がボーっと彼女を眺めていると隣にいる白石くんに声をかけられるので私は彼の方へと駆け寄る。
そのタイミングで集まりは解散になったようで、部員の殆どは各自練習に入るために散り散りになっていった。

「野宮さんな、体験入部ちゅう扱いやから、俺か小石川か、あとはオサムちゃんが面倒みることになったんよ。なんで【名前】はいつも通りの仕事してくれれば大丈夫やから」

そう言われて私は驚いてしまう。
マネージャーと言っていたのでてっきり私が説明とかをするかと思っていたからだ。
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