• テキストサイズ

ゆるやかな速度で

第9章 7.合宿01




「んーっ…」
私は自身の凝り固まった筋肉をほぐすように背伸びをする。

あれから2人の試合内容のスコアを取ったり、他の人たちのスコアを取ったりとコート内を転々と移動等をして午後の私の立ち回りは完了した。
夜ご飯分の配送の時間になったので慌てて受け取り場へと向かう為にコートを後にすると、私より先に受け取り場に到着していた忍足くんがそこにはいてくれた。
謝罪をしてから私も一緒に納品書の内容と相違ないか確認をしたり、配膳をしたり…と夜も賑やかに過ごしてから自室に戻ってきていた。

午後のスコア内容を確認しながら書き直したり、確認点、弱点、改善点の項目を埋めていく。
けれどお腹がいっぱいになった影響なのか私の瞼が段々と落ちてくるのを感じていた。

「いけない…まだ、ここのスコアの部分……」

私は独り言をそう呟く様に言葉を放ったけれども、眠気は全く止んでくれず…少しずつ睡魔に襲われていくのだった――。


『変なの』
『――っ』

その言葉に私はビクッと肩を揺らして振り向いた。
そこには幼い頃のクラスメイトの男の子が数名、私の方を見て立っていた。

――あぁ、また昔の夢

そう感じた瞬間に幼い私が私の目の前に現れる。
普通の夢を見ている時は夢だと気が付かないのに、こうして昔の事を夢に見てしまう時だけは幼い私と今の私で意識が別の所にいるのは何か理由でもあるのだろうか?
私の精神が未熟なせい…なのだろうか?

最近はあの時の夢を見ることも無かったのに、何故急に合宿に来て……。
環境の変化に心でも揺らいだのだろうか?
そうだとしたら、私はなんて弱いのだろうか……と自嘲する。
そしていくら現在の私が嫌だと思っても録画した番組が再生されるかのように過去のあの日の出来事が目の前で再生されていくのだった。

『お前の口調、ぜんっぜん関西弁っぽくないイントネーションなんやけど』
『……』
『思うわ~』

彼らは私を嘲笑って見ていた。
その言葉を聞いて私は目尻に涙を溜めながら反論をする。
/ 166ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp