第1章 シュガーフラッシュ【河野×石原】
どうかしてるだろ。
俺と拓人の距離が近いとか、そういうやましい感情なんてないし。
意味がわからない。
「––––––野、河野。河野!!」
「はっ、はいっ!!」
「はぁ…ったく、話聞いてたのか?四角5番の問の5だぞ」
えっ…俺、勉強なんか無理。
そもそも何が書かれているんだ?
「73(小声)」
「な、73です」
「よし、正解」
拓人に助けられてしまった。
なんで。
なんで、こんな心臓の音が煩いんだ。
静まれ、俺の心臓。
*゚+.*.。ヾ(*´ω`*≡*´ω`*)ノ゚+..。*゚+
「河野、お前なぁ…授業真面目に受けろよ」
「…はい」
「なんか悩み事でもあんのか?上の空だったぞ」
「………………………いえ、特には」
「そうか。まぁ、帰りなさい」
「…はい。すみませんでした。」
ガララッ
拓人のせいで、授業全然集中できなかった。
くっそ。腹立つ。
なんか、教室がうるさいな。
「でさー、セボンのシュークリームめちゃ美味かった!!」
「えー、シュークリームだったらハミマだろ」
「いや、ローホン一択」
何の話してんだこいつら。
確か、あいつらは江本雄樹(えもとゆうき)と小林弓月(こばやしゆづき)。
結構顔も性格もいいから女子がよくきてる。
「チッ…」
石原と話してるやつ、イラつく。
なんなんだ?