第17章 彼女は人気者
ステージで聞いた彼女の呼び名を思い出しながら、ステージは終わりを迎える。
疲れ、力を出し切り、彼等が彼女の元に戻ろうとすれば、
1人の青年が彼等に声をかけた。
それは…EXOのベクヒョンだった。
「ベクヒョン先輩?…」
彼等が彼の名を口にすれば、彼は不貞腐れたように彼女のいる楽屋を見つめる。
「本当に…なんで?バンタンの所にいるんだろうね……」
「え?」
「ピョルは何処にも留まらなくて、素はプライベートでも、見せるのは一瞬なんだ……なのに……あいつ、君達を見てるの楽しそうだった……」
彼の言葉はまるで、最近まで、彼女がそこにいたような感じがした。
「あの……もしかして、俺達の前はEXOにいたんですか?」
ナムジュンがそう質問すると、ベクヒョンは顔を歪ませる。
「っ……そうだよ…でも、俺達はレイを手放すしか無かったから、レイを信じれなかったから…………だから、もし、君達が彼女を手放す事があるなら、俺達は全力でも、彼女を奪いに行く。多分、それは…皆そうだと思うよ……」
彼の言葉は実に真剣だった。
辛く重く、一体、何があったのか、ただ、バンタン達は聞かなかった。
だって、きっと、それは、彼女も彼等も教えてくれないだろうと思ったから、
彼女は謎だらけのメイクで、何故、変人を演じているのか、
きっと、その全てを知った時、
始じめて、彼女はバンタンのメイクになるのだから、
彼等はベクヒョンに向き直り、心を決め笑った。
「そうならないように頑張ります。」
「そう?なら俺達も頑張る。
ただ、これだけは覚えておいて、彼女は嘘はつかないよ……選択は誤らない方がいい…………きっと、その後が辛いから………」