第13章 お砂糖を…
2太陽な音楽
人飯は久々で、目の前のこいつは根掘り葉掘り聞いてくるタイプじゃなくて…
ユンギは彼女の料理に少しの安心感を感じていた。
最近…レトルトや出前多いからな……
彼女の味付けは優しめで、今の彼には丁度いい味付けで、
彼女はきっと…何か自身の悩みに気づいているのかもしれない……
だから深く追求してこないのだろう。
すると、彼女は急に立ち上がり、
CDオーディオから…ある曲を流し始める。
それは最近…売れ始めている
ソロアーティストのもので、…
「それ……テヤンのデビュー曲だろ?」
名はテヤン……意味は太陽…で、その曲確のタイトルはドイツ語で〝
Auf der Suche nach 〟…捜し物だった気がする。
彼のデビュー曲はさほど有名ではなく、…知っている人は恐らく少ない……
でも、ユンギにとって彼の曲は、
彼がバンタンになる前から……覚えのある曲だった。
同じ…音楽を目指すものに……夢や…初心を与え、思い出せるそんな物で、自身も勇気づけられた事を覚えている。
確かその時、テヤンはこう言ってたな…
〝俺は…音楽を楽しめれば最高です!〟
俺も最初はそんな事思ってたな…
テヤン…そう名を言えば
彼女はユンギの方にゆっくり振り向き、
その声は実に嬉しげで……
「知ってるんですか!彼の事!!……」
「知ってるっつうか……有名になって来てるだろ?…そいつ……」
「え?……そうだったの?あの人何も言ってくれないからな……知らなかったです……」
「知り合いなのか?」
知り合いなのだろうか……
…まぁ…沢山の芸能人のメイクをしてるんだから……当然と言えば当然か……
彼女は考え込むユンギに
少しイタズラ子のように笑うとこう応えた。
「テヤンオッパはですね……実はさっき言ってた兄で私を雇ってる社長なんですよ!知り合いというか身内です……」
「え?……」