第12章 彼女の居場所
「あー……私…年齢…不明になってるじゃないですか…」
「え?…はい」
「居場所って言うのは…私…
実は……私、韓国に来て直ぐに母親に捨てられたんです……だから当時の身寄りの無かった私には 引き取ってくれた義理の兄がやっていたメイクの仕事を自然と好み、進みました。
だから私はメイクしか知らないんです……
韓国を知らない私が最初に作って貰った居場所だから…仕事をする事が私の生きる幸せです。」
まるで他人のように話す彼女…
「なんで……そんな平然と……」
「あー…すみません…ナムジュンさんは良く考え事をするタイプだと聞いていたのに考えちゃいますね……
でも、……それが……私がメイクを続ける理由なんです
年齢が不明なのは……ある時から数えるのを忘れて……誕生日も何故だか、思い出せないからです…………」
彼女の話に彼は上手く言葉が出てこない……
辛かったから忘れたのだろうか……
彼女が年齢を語らないのは……本当に不明だったから……、なら…
「戸籍とか…見なかったんですか?」
「見ないんですよ……だって!メイク出来れば十分なので!」
彼女はただ笑っていた……
その笑顔は儚げで……実に絵になるのだった。