第5章 踊る練習者
踊る練習者
ふわりと笑い、彼等の前に現れた女は、
ふらりと会社の中を見てまわっていた。
メイク道具揃えなきゃなあ…
と思いながら、
ふと、ある部屋が目に入ってくる。
「練習室?」
ダンスをする部屋なのだろうか、
扉はくもりガラスのため中を見ることは出来ない……
彼女はふと、誰かいるのではないかと思い扉を開けた。
そして、その中にいたのは、
少し、眠たげで、重い瞼の少年だった。、
確か…パク・ジミンだっけ…
彼女はこの前知った情報と、貰った資料の写真と名前を照らし合わせる。
ダンスをしている彼は、彼女に気づくこと無く、ずっと踊り続けていた。
頑張るね〜
踊りをしている彼は、確かに素敵だったが、彼女にとって見れば、
苦しそう…
そう見える。
彼女はそっと彼に近づくと体育座りをして、彼が気づくのを待って見ることにした。
すると、
「ねぇ…何時まで見てるの?」
彼は振り返り
彼女は彼に笑いかけた。
「そうっすね〜ジミンさんが終わるまでっス」
「……名前……」
「あ!名前呼びじゃない方がいいっすか?」
「いや……知ってるんだって…思って」
ジミンの言葉に彼女はぽんと両手を叩き、
納得すると、彼にあるものを投げ渡す。
投げたものは、冷やしたタオルで、
「うわあっ!?」
「びっくりしすぎっスよ?」
「するよ!
いきなり投げられたらさ!」
彼女はケラケラ笑い、彼は呆れ顔だが、しぶしぶ、タオルを首にあてる。
気持ちいい……このタオル何時…用意してたんだろ……
「ありがとう…」
「どういたしましてっス!でも、皆さんはいないんっすか?」
彼女がジミンにそう質問すると、ジミンは悲しげに笑っていた。