第2章 水色~黒子~
-黒子side-
「おはよう」
「おはよ」
いつもと変わらない、朝の教室。
朝練を終えて、いつの間にかうとうとしていたらしい僕の耳に、いろんな声が聞こえてきました。
(そろそろ起きなきゃ駄目ですね)
ぼんやりそんなことを考えている内に、段々教室がざわめいてきたけど、あまり気にならなくて。
「何だ、いたのかよ、黒子。寝てたらもっと影薄くなんじゃねー?」
そんな風に弄ってくる相手は更に気にしません…というより、完全無視です。
たった一人を除いて。
それは……。
「おはよー」
聞こえた、それは△△さんの声……。
うつ伏せていた顔を無意識に上げると、△△さんがクラスの女子達と一緒に、すぐ傍を通り過ぎるところでした。
「お……」
『おはようございます』
そう言おうとした僕でしたが、
「おはよう。黒子くん」
彼女から先に言われて、ちょっと驚きました。
「おはようございます」
でも、そうやって淡々と返す僕が、実は結構びっくりしてるなんて、きっと分かりませんね。
そんなことを考えていたら。
「朝練、大変そうだね」
「え……」
そのまま通り過ぎると思っていた△△さんが、そこで立ち止まっていて。
これには、本当に驚きました。
すぐ傍にいたのに気が付かなかった自分にも驚きですが、それよりも△△さんが、こんな風に話しかけてくるなんて、もしかしなくても、初めてです。