第1章 藍ノ里
ここは木ノ葉の里から千キロ離れた小さな村の隠れ里。名前は藍ノ里(あいのさと)
今日は里を上げての盛大なお葬儀が粛々と進行していく。涙を出し人々は泣き崩れるが、私は冷めた目を向けている。
「そんな大袈裟な……。」
コピー忍者はたけカカシと戦闘中に崖から転落し大怪我を負ってしまい、懸命の延命治療も虚しく、今朝方、里一番の英雄だと言われていた人間が死んだのだ。はたけカカシは現在は六代目火影に就任したと情報が入ってきている。
「人間ってさー、いつか死ぬし、忍びなんだから怪我も仕方ないじゃん。不慮の事故でしょ、然もこれは。わざわざこーんなお金かけてまで、こーんな盛大にせんでもいいんやと思うんやけどなーー……」
のんびり過ごしたかった休日に朝っぱらから叩き起こされ、不満が天上に到達して吐き出した文句に、小さい時から世話をしてくれた身内である、祖母が御怒りだ。
「これ!、アホな事言うてへんで、早よ前に行かんかいな、後ろ詰まってるやろ!」
「へいへい、わかりましたよー。」
はぁぁー、とワザとらしく大きな溜息をつきながら前に行き、祭壇の前に立ち、僧侶、ご遺族へ一礼をしてお焼香を行い、再び、僧侶、ご遺族へ一礼をして自分の席に着き、改めて遺影写真を見ているが、何とも感じない。
それが忍だと教え込まれたからだ。
しかしやはり情はあり、最後の姿を見た時は思わず感極まり、涙を浮かべ悲しく感じた。