第2章 再会
「すまない、そこの人」
穏やかな声に振り返ると、また会いたかった、もう二度と会えないと思っていた人が立っていた。
「大野課長!?」
大野課長は不思議そうな顔をした。
「私を知っているのか?」
「はい。と言うか、お会いしたこと……あるんですけど」
忘れてしまったのかな。それはあまりにも悲しい。
しょんぼりとしながらうなずくと、「では、この時代で合っているんだな」と、真面目な顔で、訳の分からないことを大野課長は言った。
「私は「国立時空管理局」の「時空関係調整課」課長、大野拓朗。西暦2114年からやって来た」
「「国立時空管理局」? 「国立異次元獣対策センター」じゃないんですか?」
大野課長はキリッとした顔でうなずいた。
「やはり、次元に大きな穴が空き、それをふさいで、時空の歴史を変えるという行為が行われたのは、この時代で間違いないのか。私は時空の歴史を調整するために、未来からやって来たんだ」
「ちょっと待ってください! 「国立異次元獣対策センター」の「時空関係調整課」の人達は、この時空を守るために、時空の歴史を変えたんです。また穴を開けられたりされたら、異次元獣とかがまた出て来てしまいます!」
思わず私は必死で彼の腕にすがっていた。優しく私の腕に触れて、大野課長は尋ねた。
「君の名前は?」
「神月風音です」
「君が神月風音か!? 西暦2114年のこまちまちこから伝言を預かっている。『私は今も元気で幸せだから、安心してください。あなたの家の温泉は今も癒やしの力を発揮しています』と」
今度は私が驚く番だった。
「こまちまちこさんを知っているんですか!?」
「ああ、西暦2114年でも、全国のどちゃもんが、多くの人々から親しまれている。政府は彼らから歴史が一度変わるほどの戦いがあったことを教えられて、「国立時空管理局」を作ったんだ」
そして、大野課長は優しく微笑んだ。
「風音くん、心配しなくていい。私はこの時代に再び、戦いを引き起こすために来たのではなく、歴史が変わってしまって、人々の記憶が混乱している歴史の流れを調整するためと、次元に再び穴が空いて、歴史改変の必要性が起きるのを防ぐために来たんだ」