第10章 ~奪還、そして想い~⭐秀吉ルート⭐
だが、その笑顔と同時に、の瞳からは涙がどんどん溢れだし頬を次々に濡らしていく。
秀吉「…泣くなっ…」
「えっ……あ…………っ!」
秀吉は苦しそうに眉をひそめ そう言うと、の手から湯呑みを取り上げ、そのままの腕を引き寄せ、その小さな身体を抱き締める。
すっぽりと包み込むように抱き締められたは驚きながらも、離れたくないという思いで逞しい背中に手を回す。
秀吉「全く……お前を妹として甘やかしてきた筈なのに…どんどんお前の事が可愛くなってきて、妹以上の感情を持つことに、歯止めが利かなくなるだろ?」
「秀吉、さん…?」
ギュッと強く抱き締めながら、秀吉は言葉を続けていく。
秀吉「例え信長様でも…お前を渡したくないと思ってしまう程、お前への想いを止めることが出来ないんだ」
「っ……!!」
秀吉「なぁ、?
…俺は、信長様の為なら、この体も、命も平気で投げ出せる。
俺は、死ぬことを怖いと思ったことは一度もないし、それはこの先も変わらない」
ーーー命を投げ出せるーーー
秀吉の言葉で、の胸は締め付けられたように傷み、溢れる涙を止めることもできず、ただ、その胸に顔を埋める。
秀吉「なのに……っ何でだろうな…?」
苦しそうにそう言うと、ぐっと抱き締める腕に力を込める。
秀吉「何があっても、お前の側に必ず戻って来たいと願わずにはいられないんだ
戻って、お前を存分に甘やかしてやりたい……
お前の心からの笑顔を俺が守ってやりたい…
お前の涙も、心の闇でさえも、俺が全て拭ってやりたい…
その願いが叶わないことを怖いと思うなんてな」
(俺の命は、信長様のために在って、
俺の心は、お前のために在る。
…なんて、我ながらかなり自分勝手だよな)
秀吉は腕を外し、優しくの髪を優しく撫でながら、涙を拭っていく。
秀吉「ごめんな……」
「謝ら、ないで……っ!」