第9章 ~奪還、そして想い~⭐家康ルート⭐
「家康の腕の中って、何だかすごく安心する」
は顔を上げ、にっこりと微笑む。
家康「褒めたって何もあげないよ」
そう言いながらも、その表情は柔らかく、の凍りついてしまった心をそっと溶かしていくのだった。
(この笑顔をもっと近くで見ていたい。家康が笑ってくれると、すごく嬉しくなる。……どうしよう、私……)
ーーーこの人のことが好きだーーー
気付いてしまった気持ちはどんどん溢れだし、胸いっぱいに広がっていく。
「もう、もらったよ?…こうしてくれるだけで、私はすごく安心出来るし、幸せな気持ちになれるんだよ」
家康「…じゃあ、あんたが安心して眠れるようになるまで、こうしてあげる。
…言っとくけど、こんなことするの、あんただけだから」
まるでの想いが通じたかのように、家康はそっと顔を近付け、唇を重ねる。
愛しげに髪を撫でるその手つきとは真逆に、貪るような口付けをされ、体の熱が上がるのがわかる。
「ふぁ…っいえ、やす…っ」
ふぅっと息を吐き、唇を離し真っ赤になった顔で家康を見上げる。
家康「…ねえ、どうして拒まないの?こんなことされて、嫌じゃないわけ?」
睫毛が触れそうな距離で問いかける家康の目元もほんのり染まっていた。
「嫌なんかじゃないよ…」
家康「何で」
「家康の事が、好きだからだよ…!だから…嫌じゃないし、拒めないっ……迷惑かも、知れないけど…っ家康が、大好きなの」
自覚してしまった家康への想いを言葉にしてしまうと止めることができず、ただただ、涙を浮かべた瞳のまま家康を見つめる。
家康「……俺は、あんたのこと好きじゃない」
「えっ……」
衝撃の一言に胸が痛み、きゅっと自分の着物の胸元を握りしめる。
家康「俺は、あんたのこと…愛してるから。だから、好きじゃない」
「ーーーっっ」
の瞳からはポロポロと涙の滴が落ち、頬を濡らしていく。
家康は両手で頬を包み込むと、優しい笑顔をへ向ける。