第9章 ~奪還、そして想い~⭐家康ルート⭐
「すみません、お水を飲んだら直ぐに戻りますね」
湯呑みに注いだ水を飲もうとするに近付き、その手をそっと止めると驚いたような表情を向ける。
「家康さん…?」
家康「眠れないんなら、香草を煎じて飲ませてあげる。いるなら付いてきて」
「…でも、良いんですか?家康さんもここに用事があったんじゃ…」
家康「いるの?いらないの?」
(秀吉さんや政宗さんなら二つ返事のくせに…)
自分だけ遠慮されたような心地に胸がざわつく。
「…ありがとう、ございます。頂きます」
やはり遠慮がちにそう呟く。
(ごめん…。でも、俺はこんな言い方しか出来ないから)
家康「…こっち。付いて来て」
そう言うと踵を返し、自室へと向かう。
前を歩きながらも、視線だけでの存在を確認しながら歩幅を合わせるようにゆっくりと足を進める。
(子犬みたい…可愛い)
ちょこちょこと付いてくるその姿を見て思わず口元が緩んでしまうのだった。