第8章 ~奪還、そして想い~⭐信長ルート⭐
しばらく眠ったあと、ふと何気なく視線を感じたは静かに瞼を上げる。
霞む視界には頬杖をつき を見つめる信長の姿が映り込んできた
信長「起きたのか。貴様は寝ているときは素直に甘えるのだな。良いことを知った」
「え…?」
ニヤリと笑う信長の言葉の意味がわからずキョトンとするが、その両手は信長の襟元にしがみつくように握りしめていたことに気付く。
「あっ!これは、無意識で…!」
は慌てて離れようとするが、信長は頬杖をついていない方の手をの体に回す。
信長「良い。貴様に甘えられるのは悪くない気分だ」
「……ここで許しちゃうと、次もって甘えちゃいますよ?」
は ほんの悪戯心でそう告げる。
信長「そうか。だが、それも一興だな」
の悪戯心をわかった上で敢えて賛同する信長
「ふふっ……ですが、それだと験担ぎの力が弱くなってしまうかも知れませんね?」
どこか寂しげに笑うの言葉を聞き、信長はゆっくりと視線を合わせる。
信長「ただの験担ぎの為だけに俺が貴様を側に置いていると、未だに思っているのか?」
「それは…そう仰ってたので…そうじゃないと、こんなに迷惑ばかりかける私のことを側に置いてくれる理由が見当たりません…」
信長への一方的な恋心に気付いてしまったは その思いが叶うことも、気持ちを言葉にして伝えることもできない もどかしさで泣きそうになり、信長の胸に顔を埋めるようにして呟く。
信長「…貴様を側に置いておくのはただの験担ぎの為ではない」
信長は半ば呆れたように静かに息を吐くと、の頬に手を当て、俯いた顔を己の方に向かせる。
「え……?」
(じゃあなんで?)