第8章 ~奪還、そして想い~⭐信長ルート⭐
「辛そうな…お顔です。私なんかのために、信長様が辛そうなお顔をされると…私も辛いんです。
だから、辛そうなお顔をしないでください…」
信長「……ならば笑え、早くしろ」
「え…、笑えって…」
(そんな急に…)
請う様に言う子供のような信長様が可愛くて、一気に愛しさが溢れてくる。
(あぁ……そうか…私、信長様が好きなんだ。
だからあの時も信長様の顔が一番に浮かんで、その名前を叫んでたんだ……)
早く笑えと信長の急かすような表情と言葉が段々と可笑しくなって
「ふふっ」
自然と笑顔が溢れた。
信長「…………っ」
「信長様ったら、そんなに急かされてもすぐには無理ですよ。ふふふっ」
信長「……漸く笑ったな」
「えっ…?」
ぎゅーっと抱き締められたままゆっくりと顔を上げて信長を見上げると、満足そうに笑みを浮かべる信長の顔があった。
信長「今宵は何も考えず、このまま寝ろ。
貴様が眠るまでこうしておいてやる。
貴様が元気がないのは落ち着かん」
(落ち着かんって…またそんな子供みたいな理由)
「ふふっありがとうございます。…何だか…良く眠れそうな気がします…」
そう言うと胸板に頬を擦り寄せ、あの夜聞いた鼓動を聞きながらゆっくりと瞼を閉じる。
暫くするとの穏やかな寝息が聞こえてきた。