第8章 ~奪還、そして想い~⭐信長ルート⭐
「?…はい」
信長「貴様はここ数日の間、何を思っている?」
「信長様…?」
信長は胡座に頬杖をついての顔を覗き込み静かに問う。
がゆっくり信長の顔を伺い視線を合わせると、月明かりに照らされた信長の瞳は、切なげに揺れていた。
ーーードクンッ
は信長の端正な顔立ちと切なく揺れる深紅の瞳から目が離せなくなり、しばらく無言のまま見つめる。
信長は静かに盃を床に置くと、ゆっくりとの髪をひと束掬い上げ、口元へ運ぶ。
ーーードクン、ドクン
艶やかで、どこか切なげな一連の動作にの心臓は煩いほどに騒ぎ立てる。
信長「先程も言ったが…貴様はあの日以来、まるで消え入りそうな雰囲気を纏わせて居る。
……どうすれば、貴様は笑う?
……どうすれば、貴様にそのような顔をさせずに済む?」
すっと瞳を閉じ、苦痛とも、悲しみとも似た表情で静かに問い続ける。
その表情を静かに見つめるの瞳からは次々に涙が零れ落ち、頬を濡らしていく
(どうして?
どうして…そんなに辛そうな顔をするの?)
信長「どうすれば………」
信長が次の言葉を発する前に、が頬を包み込んだと理解すると同時に唇を塞がれる。
信長は、少し驚くが与えられた口づけに応えるようにそのまま静かにの後ろ頭を支え、腰に手を回し口づけを深くする。
ーーーふぅっ
信長は静かに唇を離し、そのまま の瞳を見つめ、後ろ頭に置いてあった手で涙を拭っていく。
しばらく、ぼーっと蕩けたような表情をしていたまま信長を見つめていたが、じわじわと頬を真っ赤に染めていく。
「すっっすみません!わ、私っ!!」
胸に手を付き離れようとするが、腰に回された信長の腕がそれを許さなかった。
信長「何故謝る?貴様から口づけされるのも一興だ」
少し悪戯に口角を上げ、の顎を掬う
「でも…信長様のあのようなお顔をこれ以上見るのが辛くて……気付いたらこのような行動を…すみませんでした」
信長「あのような顔とは?」
(無自覚…なの?)
一瞬驚きながらも、素直に伝える。