第8章 ~奪還、そして想い~⭐信長ルート⭐
「きゃっ!?」
信長「天主へ行く」
「はい…へ?何で私も?!」
一気に顔を赤らめじたばたと暴れる。
信長「暴れるな。落とされたいのか?」
信長は全く動じることなく暴れるをぐっと抱き締めると、淡々とした口調で言いながら天主へと足を進める。
信長様ならホントに落としそう…
でも、不思議と嫌じゃない)
むしろ、信長の胸と腕を心地よくさえ感じ、このまま時が止まってほしいとまで願ってしまう。
ーーー安土城 天主ーーー
信長「思っていた以上に素直についてきたな、」
「……っ素直にというか、信長様が暴れたら落とすって仰ったので」
信長「ふっ…そうか」
信長は楽しそうに笑いながらを抱いたまま天主の梁に向かう。
「あ、の…?」
信長「眠れぬなら少しの間、酌をしろ」
「……はい」
ゆっくりとを下ろし、部屋から酒と盃を取ると、の隣に胡座をかいて座る。
傾けられた盃に酌をするの姿は月明かりに照らされ、どこか儚げで美しく、妖艶な姿として信長の瞳に映るのだった。
信長「…美しいな」
盃の酒を飲み干し、ぽつりとそう呟くと、
は空いた盃に酒を注ぎながらきょとんと首を傾げゆっくりと空を見上げる。
「…今夜は満月、ですからね」
信長「は?」
「え?」
信長「美しいと言ったのは月などではなく、貴様の事だ」
「え?満月の月明かりのことじゃ………えぇっ?!」
かーっと一気に顔が熱くなったの反応を見た信長はまるで悪戯が成功した子供のように愉しそうに笑う。
「…っもぉっ!」
信長「くくくっ…拗ねるな、今宵は貴様も呑め」
信長は自分の盃をにやると、酒を注ぐ。
「…はい。頂きます…」
ゆっくりと注がれた酒を呑んでいくと、
じんわりと体の芯から解れていくような感覚が全身に広がる。
信長「」
が盃を信長に戻し、酒を注いでいるとふと名前を呼ばれる。