第7章 ~奪還、そして想い~
信長はを抱きかかえ安土城へ戻ると、女中達に湯浴みを命じ家康の方へ視線を向ける。
信長「家康。終わったら報告しろ」
家康「はっ」
広間へ着くと脇息に凭れ、家康がの治療を終え広間へ戻ってくるまで怒りの熱を孕んだ瞳を閉じ、静かに待っていた。
治療をしている家康以外の他の武将達も 信長に続き、広間へ集まってくる。
どの武将も言葉を発すること無く、各々の思いを胸に、ただ静かに家康の報告を待つのだった。
政宗「つまり…全身、痣と傷だらけってことか…」
広間へ戻ってきた家康がの状況を皆に報告し終えると、
そう呟く政宗の言葉に、その場にいた全ての武将の瞳は怒りに揺れる。
家康「はい。痣も腫れも傷も、時間の経過と共に消えるでしょう。ただ………」
怒りを孕んだ瞳のまま淡々と説明をしていた家康だったが、次の言葉を発するのを躊躇する。
秀吉「ただ…何だ?」
家康「…今回のことで、は身体的な苦痛だけじゃなく、心理的な苦痛も与えられています。むしろ…」
信長「体よりも、そちらの方が厄介だ」
(は戦もない平穏な世から来た。此度の出来事は衝撃が大きいだろう)
信長は脇息に凭れ、頬杖をつきながら先程までのの事を思い起こす。
光秀「…確かに。痣を見るたび思い出すでしょう」
光秀もまた、信長に抱えられ疲れきったような表情で意識を飛ばしたを思い起こす。
一瞬、広間に静けさが漂うが悲痛な叫び声がその静けさを消し去る。
「いやああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
「ーーーーっっ?!」
三成「このお声は…」
政宗「っ?!」
突然の叫び声に驚きながらも皆が広間から出ていき、その叫び声の主であろうの元へと足早に向かう。