第1章 事の始まり
小雨の降る中、早足で歩いていると
「むぐっ?!んーっ!?」
突然背後から布で口元を覆われたかと思うと、
背中には何か尖ったものを当てられ、
そのまま人気のない路地裏まで半ば引きずられなが連れていかれる。
「静かにしていろ。
お前、信長の側女だな?大人しく付いてくれば殺しはしない」
ーーー信長の側女ーーー
(この台詞、前に聞いたことがある。
確か、安土城から勝手に飛び出したときに襲ってきた人に言われたんだよね…
あのときは家康さんが助けてくれたけど、今は誰もいない…)
以前、この言葉を告げた相手に命を狙われたことを思い出し、背筋に雨とは違う冷たいものを感じたーーー