第1章 事の始まり
必死に頭を左右に振り、側女なんかじゃないと目で訴えるが伝わる筈もなく
恐怖に震える体を必死に抑え込む。
すると目の前に1人の男と、その後ろに控える数人の浪人姿の男達がゆっくりと近付いてくるのが見えた。
「流石はあの第六天魔王と呼ばれる男の側女。
美しいものだ」
の前でにやにや薄笑いながらぴたりと立ち止まる
「…憎き信長には儂の大名としての立場も何もかも、全てを奪われてのぉ…」
にやにやと笑うその男の目は、怒りとも、憎しみとも取れる感情を露にしていた
恐らく、先日の戦のことを言っているのだろう。
織田軍の配下にあった小国の大名が謀反を起こし、信長率いる織田軍が鎮静に向かった際、
大名は身分も土地も奪われたと聞いていた。