ロリコン王子(絶倫)をドMに覚醒させようとする悪役令嬢の話
第5章 断じて嫉妬させたかった、嫉妬して欲しかったとかじゃない5
本当にちゃっかりしていると思う…乙女で優しいエミリアには王子は悪影響を及ぼす気がしてならない。そんな彼女を売るような真似をした私はもっと最低である。
「それに…私、王子様よりも…その…」
「えっ?」
「ゔぃ…ヴィッツ様の事をお慕いして、おりまして…」
「なんでさ」
おいおいおい、どうしてこうなった?そんな素振りは見せていなかったと言うのに…その疑問をエミリアに問えば、恥ずかしそうに口を開いた。なんでも少し前に、美少女のエミリアは誘拐されそうになっていたらしい。見た目が可愛らしく、伯爵家だった彼女は金になると考えた男達が隙を見て連れ去ろうとした。そんな時偶然居合わせたのがヴィッツだったのだ。エミリアにとっての初恋はヴィッツであり、ヴィッツもエミリアの事を想っていたが彼女の幸せを考えて隠していたようでーー…あぁ、そうだ。そんな話しがヴィッツルートに入るとあったわ、すっかり忘れていた。だからエミリアは男らしい男性には恐怖を抱いている設定があった。王子が大丈夫だったのは女のような男だったから。私に対して恋愛感情を抱いているのが分かったから。と言う事だ。
いや、いいけどね…エミリアは優しくて、本当にいい子だったから王子に渡すの勿体ないとは思っていたし…ヴィッツとエミリアもお似合いだものね。
「本当、上手くいかないなー…」
それならば他の手を考えなければ…そうエミリアの顔を見て苦笑いを浮かべた。