第20章 優しい死神くん
‹…チッ…チッ…チッ…›
…どんどん時を刻んでいく…
あれから翔ちゃんは眠り続け、日を跨いでしまった…
リスト通りなら、翔ちゃんは今日の明け方6時頃死ぬ…
けど…させない…
俺がここに来たのは、翔ちゃんの最期を見届ける為じゃない…
翔ちゃんが生きる為に来たんだ…
俺は目を閉じて翔ちゃんの胸に手を当てようとした
すると突然俺の手をガシッ…と握られ、驚いて横を見ると…
「…何やってんの雅紀…」
雅「…和…」
和が険しい顔をして立っていた
雅「…そういえば、翔ちゃんの魂を持っていく死神は和だったね…来るの早いよ…」
和「はぐらかさないで…雅紀…その人間に今『神魂』を入れようとしてたでしょ…」
『神魂』
文字通り、俺達死神の魂…
この『神魂』を翔ちゃんに入れれば…翔ちゃんの身体に巣食っている病原体は『神魂』が消滅させて翔ちゃんは元気になれる…
雅「…解ってるなら止めないで…今ならまだ間に合う…」
和「馬鹿!そんな事したら魂の無くなったお前が消滅しちまう!この人間は寿命だ!もう手遅れなんだよ!」
雅「手遅れなんかじゃない…俺が助けるから…それに、落ちこぼれの俺が霊界に居ても役に立たないし…これが1番良いんだよ…」
和「雅紀…」
そして俺は翔ちゃんの胸に手を当てた…