第20章 優しい死神くん
俺はそのまま翔ちゃんに近付きスッ…と額に手を添えた
…酷い熱だ…呼吸も苦しそう…
俺が突然手を当てた事で、翔ちゃんは身体を少しビクッ…と身動いで薄っすらと目を開けた
翔「…ゆ…め…?雅紀が…いる…」
雅「…夢じゃないよ…翔ちゃん…久しぶり…」
すると翔ちゃんはホロホロと涙を流して
翔「雅紀…ホントに…?あの…死神の雅紀…?」
雅「うん…」
翔「ふふ…死神に…会いたがるなんて…俺くらい…だね…」
雅「俺も初めて会った…死神の俺の事怖がらない人に会ったのは…」
翔「怖く…ないよ…雅紀だから…ウッ…ゴホッ!ゴホッ!」
雅「翔ちゃんっ!」
急に激しく咳き込み苦しそうにしている翔ちゃんの背中を擦りながら口元を見ると、吐血していた…
翔「はぁ…はぁ…ありがとう…もう大丈夫…」
雅「翔ちゃん…どういう事?あの時はあんなに元気だったのに…」
翔ちゃんの身体を寝かせて口元や手に付いた血を拭きながら聞くと、弱々しい声でポツリと話しだした
翔「…あの後…会社の健康診断で…肺に影があるって…言われて…再検査したんだ…」
雅「…影…?」
翔「…癌だった…見つかった時はもう…進行してて…手遅れだった…」
癌…人間の死亡原因で1番多い病名だ…