第20章 優しい死神くん
「何時もの事ながら、大分絞られたねー…」
雅「…和…」
閻魔室を出た途端、後ろから同期で同じ『死神』の和から声を掛けられた
和「やっぱり雅紀、死神には向いてないよ。『天使』に転職したら?」
雅「向こうは希望者が一杯だし、正直『天使』も『死神』も人間の魂を持ってくるのは一緒だよ」
和「まあね。けど、何で魂持って帰らないのさ」
雅「…だって…皆『生きたい』って思ってるのに…そんな魂持って帰るのかわいそうで…」
和「あのね…人には寿命ってものがあるの。それを持って帰るだけだし、寿命を過ぎた魂をほっとくと、秩序が乱れるでしょ」
解ってるけど…皆『死神』の俺を見たら怖がるんだ…
そして『まだ死にたくない!』って…言うんだ…
すると和がふぅ…とため息をついて…
和「はい、これあげる」
雅「…これ…死亡者リスト?」
和「そ、これから俺が行こうとしてた人間。この仕事雅紀にあげるよ」
そのリストを見せてもらうと…
雅「…え…この人まだ25歳じゃない…そんな若い人俺には…」
和「大丈夫、この人間自分でビルから飛び降りて死ぬから」
雅「えっ…じゃあ自殺…?」
和「だから、死神に恐怖心なんてないよ。寧ろウエルカムじゃない?」
こんな若いのに自殺なんて…何があったんだろう…