第10章 雪から生まれた想い
その後もなかなか出ていく事が出来ず、夜になってしまった
だが、その男は長椅子に横になり眠っている様だった
…今ならここから出ていける…
そう思い、立ち上がったら
雅「…んん…」
突然声がし、起きたのかと思ったがどうやら違っていた
…そうだ…こいつは俺の顔を見たんだった…
騒ぎになる前に、この男の口を封じないと…
眠っている男の側に近より、魂を凍らせるため男の首筋に手を添えると…
潤「…熱っ…!」
男の身体は通常の人間よりかなり体温が高かった
…コイツ…熱がある…
そうか…この寒さで体調を崩したか…
馬鹿な奴だ…俺なんかの為に寒さを我慢して…
…ほっといてもその内死ぬかもな…
そう思って、そのまま立ち去ろうとしたが…
『元気そうだね…良かった』
『気にしてくれてありがとう…優しいね潤は』
…兄さん以外で初めてだった…あんなに気にかけてくれたのは…
俺は立ち去る事も出来ず、その男の顔を見つめていた…