第10章 雪から生まれた想い
ー…えーん…えーん…ー
なんだろう…子供の泣き声が聞こえる…
『ふぇーん…』
『潤…どうしたんだ?怖い夢でも見たのか?』
あれは…兄さん…
じゃあ、あの泣いてる子供は…俺…?
潤『怖いよー…人間が襲って来るよー…』
ああ…そうだ…両親の死後、俺はよく自分も人間に殺されそうになる夢を見たんだ…
でも、そんな時は必ず兄さんが…
翔『大丈夫だよ…ここに居れば人間は入って来れないし、僕が側に居てあげるから…だから怖くないよ』
潤『…ホント?本当にずっと側に居てくれる?』
翔『うん、居るよ。だから安心して』
そうだ…兄さんは必ずそう言ってくれたんだ…
なのに…なのにどうして今は側に居てくれないんだ!
潤「兄さ…!…ここは…?」
目を覚ますと、そこは何処かの部屋の様だった…
…人間くさい…それに暑い…
息苦しさで不快な思いをしていた所に突然
「あ、良かった。目が覚めた」
潤「誰だっ!」
声のした方を見ると、人間の男が佇んでいた